2005年 08月 15日
Michael Prophet “Love Is The Early Thing” (1982)
シュガー・マイノットやフレディ・マクレガー等のように、当時ルーツとダンスホールの境に位置したような年代の人達が80年代初頭という時期にしっかりと地に足の着いた活動をしてくれていたからこそ、後のダンスホールバブル崩壊後のニュールーツ運動が実り多きものになったのだと信じます。その意味でこのマイケル・プロフェットのような地味(良い意味で)な人達の活動というのは見落とせないものだと思います。
ルーツ志向のレゲエが未だメインストリームのアップ・トゥ・デイトな機能を果たしえた最後の時代が80年代の初頭くらいだとすれば、このアルバムなどはそういう潮流を象徴するモノだろうと思います。

パンク、ニューウェーブと結合したレゲエ。
ミリタントビートに乗せるシリアスなメッセージ。
そういった方法論が持つ有効性は既に薄れつつあった時代が80年代の初頭だとしてもしかしながら同時にそれらの成熟がもたらしたものも実り多きものだったと思います。例えばルーツラディックスによるワン・ドロップリズムなど。

成熟を極めたサウンドプロダクションと確かな歌声、そういった歌謡的洗練がないがしろにされるのならちょっと悲しいですね。これ以前のレゲエがそれが世界に与えた影響を含めて考えてあまりにも鮮烈であるし、この後の打ち込みダンスホールのバブル的喧騒も物凄かった。確かに間にはさまれて地味な存在ですが、この時期の「歌謡」レゲエの良さも忘れたくはないなあ、と。そう思います。死の直前のボブ・マーリーの録音を軽く見たりする人もいますが、ちょっと待ってくれという気分です。

c0075476_0133887.jpgこれは当時中堅シンガーだったマイケル・プロフェットが歌う実に「普通のレゲエ」アルバムです。いや、この普通というのがミソでして、前述のようにこの味がイイと感じられるとたまらなくイイんですよ。「あー、今良質のレゲエを聴いてます」という感覚。気張らず、妙に構えることもなく軽い歌謡的解釈で聴けるいい歌。これがポップスだなあ、と。

露出的エキゾチズム強調したレゲエが氾濫する今だからこそじっくり聴きたいレコードだと思います。今日、レゲエの魅力のうち、こういうスルメ的な部分がないがしろにされてる気がしてならなんです。ぶっ飛んだミックスやシャレたリズムを追い求めるのもいいけど、たまにこういうレコードで和んでみるのもいいんじゃないかと…。

<しばさき>
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by beatken | 2005-08-15 00:14 | review


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