2005年 08月 15日
Lou Reed “Live” (1975)
常に思慮深く音と歌詞に対峙していく彼独特のスタイル。文学的でありまた映像的でもあるイマジネーション豊かな音世界。
しかしながらこのライブ盤からはあまりそういった要素を聞き取ることは出来ません。ウネリを上げるハードなギター、時にシャウトするボーカル、タイトなリズム隊、大胆なアレンジ、全てがロックンロールなパッションに溢れています。これはまさしくルー・リードのアナザーサイド、グラマラスで扇動的なロックンローラーとしての彼がクローズアップされています。今現在の彼に対する評価基準からはこれらの側面というのはやや見過ごされがちな気もするのですが、こういう彼の姿も本当に最高にカッコいいんです。

c0075476_2225780.jpgこのアルバム、発売は1975年ですが録音は1973年です。ということは録音当時は世を挙げてのグラムロックブームだった訳で…。前年から同年にかけて『トランスフォーマー』と『ベルリン』という凄すぎる傑作を作り上げた彼はまさにこの頃乗りに乗りまくってました。果たしてここで聴かれるようなハードなアレンジが彼の本位だったかは抜きにせよ、時代の要請と本人のパッションが融合して実に充実した演奏になっていると思います。後にアリス・クーパーのバンドで活躍する連中を擁しながらの、実にハードなロックンロール絵巻。
いきなり祭り上げられたロックスターとしての役割を臆面も無く演じてみせる彼の肝っ玉と、そこに宿る永遠のロックンローラー魂に感動しちゃいます。
恐らくルーとしては、「グラム」というものを単なる自己演出の手段として捉えてたはずだけれど、ここで聴かれるようにその成果は凄いモンです。露出的であると同時に内省的でもあるという彼特有のジレンマが、物凄いボルテージで放出されているような、そういう醒めていながらも熱い感じが凄くカッコいいです。

余談ですがこの作品、アルバムといしての評価がイマイチ高くないのはどうしてだろう?と考えてみると、やはりこのリリース時期に関わって来ている気がします。リリース時の75年といえばグラムブームもある程度沈静化されてしまい、その伝統を受け継ぎながらもよりアイドル的なグループ(クイーンとかベイ・シティ・ローラーズとか)が人気を博すようになっていたり、グラムロックムーブメントの立役者たるデヴィッド・ボウィらも新しい表現を模索し始めた時代。そういう時代にあってこのルー・リードの本格「グラムロック」アルバムが正当に受け入れられたかは謎です。
前年にも『ロックンロール・アニマル』というライブ盤がリリースされていますが、内容的にもこちらの『ライブ』の方が充実していたりと、どうも売り出し方に問題がある気がしないでもありません…。やはり当時関係が悪化していたというRCAとの付き合い上出したアルバムっていう性格が強いんでしょうね~。
まあ、そんな裏事情を抜きにしても凄いカッコいいライブアルバムであることには変わりないんで是非聴いてみてください。

<しばさき>
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by beatken | 2005-08-15 22:25 | review


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