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2008年 05月 23日
NICO
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こんにちは。せっかくブログがあるので、こっちのほうもぼちぼちやっていきましょう。
OBの中村といいます。

過去ログを辿っていってもらえば一目瞭然、このブログは主にディスクレビュー、そしてBritishBeatClubのイベント情報やニュース、エトセトラ…、そんなものを訥々と、ゆったりしたペースで更新していっています。リアルタイムで確認するには掲示板が一番効率がよいのですが、たまにはこちらの方ものぞいてみると、何かしら更新されていて、もしかしたら何か参考になるような情報が載っているかもしれません。

さて、せっかくなので何かレビューしてみようと思ったんですが、「レビュー」となるとどうも肩肘が張ってしまって、何か深い、体系的な知識が必要になるような気がしてハードルが高いのです。なので、より直感的というか、「これ聴いたら良かったよ」という単純なフィールドで、細かいライナーノートはディスク・ガイドにお願いするとして、気楽にやってみたいと思います。

最近僕がよく聴いているのはNICO、という女性の「Chelsea Girl」というアルバムです。この人はいわゆる生粋のミュージシャンではありません。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドというグループに一瞬だけ参加してすぐに脱退した人で、その経歴はかなり華々しく、ドイツに生まれ十代からモデルとしてパリなどで大活躍し、アラン・ドロンとの子供をつくるなど、奔放な生活を送っていたようで、この他にもボブ・ディラン、ジム・モリソン、ブライアン・ジョーンズなどと関係を噂されたという、考えてみると結構とんでもない人物です。ブロンドの美女で、フェリーニの「甘い生活」にも出演しているとか。
1960年代後半。「ロンドンで何か面白いことをやっているグループがいる」とヴェルヴェット・アンダーグラウンドに目を付けたかのアンディ・ウォーホルが、自分の作成したフィルムにも出演させたニコをメンバーに加えないかと提案して、彼女はグループに参加することになります。このヴェルヴェット・アンダーグラウンドというグループについては、簡単に一冊の本になってしまうほどの音楽的衝撃があり、とても語り尽くせるものではないので、ここでは、印象的なバナナのジャケットがすっかり有名になった、歴史的名盤「The Velvet Underground&Nico」だけに触れたいと思います。今でこそこのアルバムは、ロック史に残る一枚として大いに認識されましたが、1967年の発売当時はさっぱり売れず、注目されず、放送もされずに終わっています。そしてニコはこのアルバム一枚だけで早々とグループを脱退。その主な理由は、

「歌っている時以外に何をさせるかが問題だった」

と、あんまりにもあんまりな、無計画さとルー・リード(グループの中心人物)の気乗りしない感じがよく伝わってくるエピソードを残しています。しかしながら、彼はニコのために数曲を書き、それらの曲は今もなお名曲として聴き継がれているところが不思議なものです。

しかし実際、一切のバイアスを取り払って、彼女の声だけに耳を澄ますと、これが何ともいえない魔的で退廃的な魅力を持っていることにすぐ気が付くはずです。メロトロンのように気だるく、物憂い、耽美的な低いトーンは、場の空気を瞬時に支配して、そしてなかなか解放してくれません。フラフラと、その声の響きが遠くなるまで、何者かに操られたかのように吸い込まれてしまうような感覚を覚えます。イギリスの深い森に迷い込んでしまったような、幻想的で、不安で、それでいて妖艶な世界。
脱退後、彼女は68年に初のソロ・アルバムをリリースします。それが他でもないこの「Chelsea Girl」です。タイトルは、ウォーホルとの最初のコラボレーションとなった66年製作のフィルムから。ジャクソン・ブラウン、ボブ・ディラン、ティム・ハーディンなど、錚々たるメンバーからの楽曲提供を受けたこの作品は、おや?と思うほど素直で牧歌的。明るい色彩に彩られています。すーっと心に沁みこんでくるような声。でも、やはりどこかしらにアンニュイな、終末的、退廃的なものを感じてしまう、繰り返し聴き返したくなる名盤です。

ソロは何作かあるようですが、実はこれ一枚しか聴いたことがありません。そんなもんです。
80年代にカムバックして出したアルバムがすごくいいと誰かから聞いたような…。
中古盤屋に探しに行きたい今日この頃です。
ああユニオン行きたい…。
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by beatken | 2008-05-23 15:16 | review