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2008年 08月 31日
早いとか遅いとか
さあ、これから夏休みの宿題を徹夜で片付けなくっちゃ。
と、いまだにこの日になると思うもので、俺は相当追い詰められてから物事をはじめる性質であったようです。もっとも、昨今では夏休みも、八月の行き止まり―今日まであるところは稀有になってきたのではないでしょうか。小学校、中学、高校、押しなべて、未だ始業せざるは無し。この調子だと、スローライフとかなんとかは一遍死んでから始めるしかなさそうですね。

大学生の夏休み、は日本社会のエアポケット。
何らの懸念もリスクもなく二ヶ月以上の日々を自由に消費し、浪費し、逃避し、韓非子、と韻を踏むまでもなくやりたい放題、懶惰の限りを尽くしてオーケーイと何となく雰囲気的に認められている不思議な一時期であります。
しかし人間ポーーンと時間ができてみるとさて、どうしたものかと手をこまねいちゃったりするもので、沈思黙考、正しい学生の休日とは?などと哲学的思惟に浸っているうちに日が暮れ、ああもう夜だ、仕方がないからスナック菓子でも喰らって寝ようと部屋着のまま近所のコンビニへ歩いたのが今日一番の遠出、なんてことになってしまったりするのです。誰のことかは想像するに難くありません。もっとこう、としまえんとか行っとけば良かった、と今更ながら思いますよ。

だがしかし、然るにでも、早いとか遅いとかないですよ。
と、声を大にしたり小にしたりしながら言いたい。TPOに合わせて。タイム・プレイス・オクトーバーでしたかあれは。
よく、
「もっと早くからビートルズやストーンズを聴いていれば良かった。やはり昔から聴いている人のほうが深みがある気がするし、最近ちょっと聴き始めたばかりなのに、分かっている風な顔して話をするのはおこがましい心持ちがする」
といった旨の事を口にする人がいます。音楽に限らず、映画でも本でも漫画でも服飾でも上方落語でも、ありとあらゆる場面でそういうことは思ってしまいがちです。かく書いている自分も、しばしばそうした感慨にとらわれたり、実際に口にしてしまうこともあります。「もっと早くからギターちゃんとやっていればよかった」等々…。

だからこそ言えることがあります。早いとか遅いとか、そういうのは全然問題にならないと。

あるいは自分に言い聞かせているのかもしれません、でもそう思います。
もう胎教からフィールグッド聴いてましたという人間と、今日「She Does It Right」聴いて大感激して弾けないけどウィルコ・ジョンソンのつもりでチューニングの狂ったギターかき鳴らしてましたという人間のあいだにどうして優劣が付けられるでしょうか?「その音楽が好き」という一点において両者は同一の地平に立っているのです。ただ知識という点で、より多くの情報をもっているかどうか、そこだけが違うと言ってもいい。でも「知識」は、それだけで見ればただの物理的情報に過ぎません。つまり、知れば一緒。百年前から知っていても、ついさっき知っても、客観的に見れば両者とも「同じ知識を持っている人」になります。アメリカ横断ウルトラクイズみたいなもんですよ。答えられればいい。
それに比べて、感動、心の躍動というものは、完全に主観的なものであり、こと芸術の分野においては、こちらの方がはるかに重要視されます。「より多くを知っていること」よりも「より深く感動したこと」の方がどれだけ大きいか知れない。知りたければ本でもなんでも使って情報を頭に入れればいい。それで終わりです。いわゆる「教養」にはなるでしょうが、それだけでおしまいというような味気ない人はいやです。個人的に。同じものを見て、聴いて、あなたはどう感じたか?自分ならばそれをこそ聞きたいし、面白いと思うことがあったらそれをみんなに話して面白さを伝えたいと思います。だから、早くからビートルズを聴いていなかったことを悔やむ必要は全くありません。むしろその「悔やむ」という部分に、「こんなに良いものをなんで早く聴かなかったんだ」という気持ちがあふれ出していて、ものすごく好感が持てる。そういう人と一生付き合って生きていきたいものです。死ぬまで色んなことを新しく感じて。

知識があることを軽視しているのでは、無論ありません。「知識」と「感激」がお互いに触発し合って、どこまでも高みに昇っていくような人もいます。すぐ近くに。このページにいますよ。

記事の下に<しばさき>と書いてある。



さてと…。つーことは、まあ、としまえんも、別に遅くないというわけで…。通天閣でもハウステンボスでもどこへでも行ってやるよちきしょう!と、一人で鼻息を荒くしている晩夏の午後です。言い忘れてた、しんまおめでとう!お前のギターは毎日弾いてるよ。

<なかむら>
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by beatken | 2008-08-31 15:59 | etc
2008年 08月 14日
ディランが来る!   かも。
ボブ・ディラン来日!




の噂。

えー、スポニチ風に大ニュースをお伝えしたわけですがー…。はっきりとしたソースは現在のところほぼ皆無であります。ただ、ネットでまことしやかに流されている噂。

ディラン11月来日説!

チケットは二万、三千人規模のホール…。
噂にありがちな細かいディテールが否応なしに期待感を煽る…!!
結構ファンの間では知られている話らしいので、好事家のみなさんにおかれましてはご存知の方も多いやも知れません。もし現実となれば、2001年以来7年ぶりということで、あの時武道館のステージ真横辺のところからディランの横顔を固唾を呑んで見守っていた十代の少年は、いまや大学も二回ダブって卒業しちまってますよ。ええ。感慨深いです。

ソールドアウト必死のプラチナチケット化はもはや必至でしょう。
今から有事に備えてブタさんの貯金箱にコンビニでブラックサンダー買ったおつりとか細かく貯めておきましょう。いやーきて欲しいなあ。興奮醒めやらず。

<なかむら>
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by beatken | 2008-08-14 16:05 | news
2008年 08月 08日
ジョージ・ハリスン「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」
c0075476_16513166.jpg夏バテ解消を目指し、様々な方法を試してみましたが、どれもいまいち効きません。
脂ののった生きのいい中国ウナギも大いに食べましたし、カキ氷にリゲインぶっかけてみたり、昨日なんかは夏季限定「キットカット・スイカ味」を勢いで口に入れたりもしました。ネスレの社員が思いつきでとりあえず作ってみたんじゃないかという気がとてもする味でした。

しかしなぜだか一向に、夏バテの奴は出て行こうとはせず、「ああ、せっかく政府の言うとおりエアコンの設定温度を28℃にしてがんばっているのにやるせないことだなあ」と考えていた矢先に解決策がありました。魚心あれば水心。何事もこちらから向かっていくことが肝要っすね。

ジョージ・ハリスン「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」

久しく聴いていなかったこの一枚をターンテーブルに乗せた時から、夏バテどころか、今年の夏は今から始まるんじゃないかという気さえしてくる魔法の一枚。ジョージが亡くなってからもう七年余りが経とうとしています。生きていてもまだたかだか六十代半ば。ジョージと深い親交のあったボブ・ディランがほぼ同じ年齢で、現在もネヴァー・エンディングツアーを精力的に続けていることを考えても、あまりに早すぎる死であったと思います。
そんなことに想いを馳せながら、簡単な説明をすると、このアルバムは、前作「オール・シングス・マスト・パス」から約三年後にリリースされた、ビートルズ解散後のソロ二作目。前作の大成功や、チャリティー・コンサートの先駆け「コンサート・フォー・バングラデシュ」の開催などから、ジョージは当時「解散して一番得をしたビートル」と呼ばれ、実力・セールス共に大成功を収めていました。このアルバムも全米で五週連続アルバム・ヒットチャートの一位に輝いています。
そんな状況にありながらも、このアルバムは世間の流れとは全く別の場所に存在しているかのごとく静謐で、より宗教的な祈りの込められたものとなっています。さりとて堅苦しいものでは決してなく、逆にポップで親しみやすいところがジョージの魅力です。

一曲目、「Give Me Love(Give Me Peace On Earth)」は唯一のシングル・カット曲で、ポール率いるウィングス「マイ・ラヴ」を抜いて「マイ・スウィート・ロード」以来二度目の全米ナンバーワンを獲得。いかにもジョージらしいスライドギターと、神に語りかけるような詞。何よりもジョージのヴォーカルが何とも言えず深い味わいを醸し出していて、何度でも聴きたくなるような優しい佳曲となっています。一発目からこんな名曲とあっては、もうこのアルバム全体が素晴らしいものであることは決定事項って感じです。

レコーディングには、リンゴ・スター、ジム・ケルトナー、ニッキー・ホプキンス、クラウス・フォアマン、ゲイリー・ライトなどなど、錚々たる顔振りが参加。プロデュースは、当初フィル・スペクターに共同で依頼しようと思っていたところが、精神的に不安定・アルコール中毒などの理由から断念。ジョージのセルフ・プロデュースとなっていて、あの特徴的な「音の壁」から離れたジョージの音が聴けるアルバムである、とも言えます。

表題曲「Living In The Material World」には、物質世界(マテリアル・ワールド)に生きる自分と精神世界(スピリチュアル・スカイ)に存在する神とを対比させた詞世界が広がり、特に、ビートルズのメンバーを名指しで登場させているところが興味深いところです。物質世界について歌う時にはガチャガチャした騒がしいバッキングが、精神世界を歌う時にはシタールやタンブーラで幻想的に、という歌い分けも面白い一曲。

みんなみんな物、物、物の世界さ
ジョンとポールも御多分にもれずこの世界
ひ弱ながらも各々ソロで動き始めたが
所詮”便利なリンゴ”だけは欠かさなかった
そうさぼくらも物、物、物の世界のいい例

この”便利なリンゴ”の部分で、当のリンゴがフィル・インを入れている。ユーモアも欠かさないジョージ、最高!

他にも、ジェシ・エド・ディヴィスが「スー・ミー・スーユー・ブルース」をカバーしていたり、コンサート・フォー・バングラデシュではビートルズ再結成の可能性もあったなどなど、言及したいことは多いですが、十一曲入り四十分のアルバムが、そろそろ三周目を終わろうとしているところですので、今日はこの辺で切り上げることにしましょう。


ぼくが住んでいるのは
物、物、物の世界

ここに居れば自分さえ見失うほど
でもこんな世界に生きてこそ
全てが開け、はっきりと見えてもくるのさ



おまけ:「Give Me Love」/91年日本公演(日本人が永遠に自慢できるジョージの単独公演)

<なかむら>
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by beatken | 2008-08-08 16:51 | review