2005年 06月 07日
The Grease Band “The Grease Band” (1971)
英国スワンプの本流はこのバンドにあり。後にパブロック人脈なども巻き込みつつ発展する英国スワンプの水脈はこのバンドの面々のしぶとい活動によって支えられているといってよいでしょう。
特にギターのヘンリー・マッカロクは、このあとポール・マッカトニーのウィングスなどに参加しながらメインストリームをも巻き込んでイギリス中にドロ臭シンドロームを仕掛けていく裏街道的最重要人物です。(でも結局ポールと対立してすぐに脱退してしまいましたが…。ポールのことをぶん殴って辞めたらしい…。図太い奴。)
他にもギターのニール・ハバードとベースのアラン・スペナーはホワイトファンクバンド、ココモのメンバーとなる人物であるし、他のメンバーもその後事あるごとに英国B級(褒め言葉)シーンでいい仕事を納めていくんでした。
地下水脈的に流れるイギリスのシーンにはいつも彼らのようないい意味で最高の趣味人達の足跡があります。この辺がイギリスのロックを聴き進めていくにあたっての最高にスリリングでロマンティックな所であると思います。

英国スワンプの本流はこのバンドにあり。後にパブロック人脈なども巻き込みつつ発展する英国スワンプの水脈はこのバンドの面々のしぶとい活動によって支えられているといってよいでしょう。
特にギターのヘンリー・マッカロクは、このあとポール・マッカトニーのウィングスなどに参加しながらメインストリームをも巻き込んでイギリス中にドロ臭シンドロームを仕掛けていく裏街道的最重要人物です。(でも結局ポールと対立してすぐに脱退してしまいましたが…。ポールのことをぶん殴って辞めたらしい…。図太い奴。)
他にもギターのニール・ハバードとベースのアラン・スペナーはホワイトファンクバンド、ココモのメンバーとなる人物であるし、他のメンバーもその後事あるごとに英国B級(褒め言葉)シーンでいい仕事を納めていくんでした。
地下水脈的に流れるイギリスのシーンにはいつも彼らのようないい意味で最高の趣味人達の足跡があります。この辺がイギリスのロックを聴き進めていくにあたっての最高にスリリングでロマンティックな所であると思います。

さてこのアルバムですが、1971年にリリースされた彼らのファースト作です。かれらがそれまでバックバンドを請け負っていたジョー・コッカーが前年にレオン・ラッセル一派に寝返ったために(そういう英米の関わりみたいなものも最高にワクワクするわけですが…)彼らは職を失ってしまい、それならというので自分達でレコードデビューを果たすんでした。デビューといっても彼らの実力は一朝一夜のものではなく、折り紙つきのものであったため、このアルバムでの演奏は実に堂に入ったものとなっています。単純にアメリカ音楽のコピーに終わることなくほのかに湿った英国臭さを醸し出しているのがミソで、この味が解ってしまうともう病みつきのシブさがあるわけです。
異様なまでにユルイ独特の雰囲気、だらしないと言ったら語弊があるかもしれないですが、変に弛緩したぶっきらぼう加減がも堪らないんです。特にヘンリー・マッカロクのギターとボーカルc0075476_22462245.jpgときたらどうでしょう。酔っ払ってんじゃねえのかとつい疑ってみたくなるほどに(実際に酔っ払ってる可能性大ですが)演奏が放蕩としてます。ダル~なリフとフレーズをネッチネッチこねくりながらムワ~とした声で歌われるその世界からは、確実にロックの美学に裏打ちされいい意味での「テキトーさ」が感じられます。とはいっても実際にはそこまでどうにでもなれ的に適当にやってる訳じゃなくて、思いのほか確かな技術と気概に支えられてる、その感じ。その感じこそがキモなんだと感じます。そういうトコこそがこのバンドの魅力であると思うし、ホントにカッコいいんだよなあ。
そして勿論ヘンリー以外にも彼を支えるバックの連中がまた最高なわけで…。特にリズム隊の、ナメてんのかと思うくらいのヨレぶりとかがホントたまりません。ドックンドックンいいながら強烈な臭みとスワンプ臭を撒き散らし、聴き手を一気に濃い~い泥水地帯へと誘います。

こんなにも天然っぽいバンドって他にあまりいない気がしますし、同時にどっか計算しているようにも思わせる。どっちにしてもまあ、あんま驚かないというか、でもこれでこいつらがインテリの連中だったら世の中わかんねえな、と思わせるそんな雰囲気こそ評価すべきかもですね。少なくとも今の時代にこんな奴らいない気がします。その点でもすごく讃えたい。

是非この独特のテイストを味わってみてください。さてこのアルバムですが、1971年にリリースされた彼らのファースト作です。かれらがそれまでバックバンドを請け負っていたジョー・コッカーが前年にレオン・ラッセル一派に寝返ったために(そういう英米の関わりみたいなものも最高にワクワクするわけですが…)彼らは職を失ってしまい、それならというので自分達でレコードデビューを果たすんでした。デビューといっても彼らの実力は一朝一夜のものではなく、折り紙つきのものであったため、このアルバムでの演奏は実に堂に入ったものとなっています。単純にアメリカ音楽のコピーに終わることなくほのかに湿った英国臭さを醸し出しているのがミソで、この味が解ってしまうともう病みつきのシブさがあるわけです。
異様なまでにユルイ独特の雰囲気、だらしないと言ったら語弊があるかもしれないですが、変に弛緩したぶっきらぼう加減がも堪らないんです。特にヘンリー・マッカロクのギターとボーカルときたらどうでしょう。酔っ払ってんじゃねえのかとつい疑ってみたくなるほどに(実際に酔っ払ってる可能性大ですが)演奏が放蕩としてます。ダル~なリフとフレーズをネッチネッチこねくりながらムワ~とした声で歌われるその世界からは、確実にロックの美学に裏打ちされいい意味での「テキトーさ」が感じられます。とはいっても実際にはそこまでどうにでもなれ的に適当にやってる訳じゃなくて、思いのほか確かな技術と気概に支えられてる、その感じ。その感じこそがキモなんだと感じます。そういうトコこそがこのバンドの魅力であると思うし、ホントにカッコいいんだよなあ。
そして勿論ヘンリー以外にも彼を支えるバックの連中がまた最高なわけで…。特にリズム隊の、ナメてんのかと思うくらいのヨレぶりとかがホントたまりません。ドックンドックンいいながら強烈な臭みとスワンプ臭を撒き散らし、聴き手を一気に濃い~い泥水地帯へと誘います。

こんなにも天然っぽいバンドって他にあまりいない気がしますし、同時にどっか計算しているようにも思わせる。どっちにしてもまあ、あんま驚かないというか、でもこれでこいつらがインテリの連中だったら世の中わかんねえな、と思わせるそんな雰囲気こそ評価すべきかもですね。少なくとも今の時代にこんな奴らいない気がします。その点でもすごく讃えたい。

是非この独特のテイストを味わってみてください。

<しばさき>
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# by beatken | 2005-06-07 22:47 | review
2005年 06月 06日
Merle Haggard & the Strangers “I'm a Lonesome Fugitive” (1967)
というわけで前回に引き続いて今度はバック・オウエンズに次ぐベイカーズフィールドサウンドの大スター、マール・ハガードの作品をレビューしてみたいと思います。

何を隠そうこの人こそがあのグラム・パーソンズが最も憧れた人なんですね。マール・ハガードというと一般的には反ヒッピー歌である「オーキー・フロム・マスコギー」という曲をヒットさせたスクエアなオジンというイメージがあるかもしれません。しかし実のところ、この人自身元々からして生粋のアウトローであり、ただ単純に「国を愛する良識ある大人」としての立場から先の歌を歌った訳では決して無いと思います。彼の内には、深い孤独や反骨の精神や放浪の精神が染み付いていたはずであり、先の曲はそういう男からの、浮き足立った当時の開放思想への皮肉であり、そういったヒッピー文化の持つ危うさへの警鐘ではなかったかと今にして感じられるわけです。(実際に歴史はその後ルーツと内省を経過していく訳だが…)そして、グラム・パーソンズや一部の思慮深いミュージシャン達はそういったことを理解していたからこそ彼を信望したんだと思います。

c0075476_2541444.jpgこの作品は、彼と彼のバンド、ストレンジャーズ(泣かせるバンド名…)が最も脂に乗り切っていた時期(1967年)の作品であり、奇しくも前回のバック・オウエンスの作品とほぼ同時期なんです。それだけこの時期のベイカーズサウンドの充実ぶりが素晴らしいということですね。
軽快なロッキンビートに乗って小気味よい演奏が繰り広げられるという点ではバックと変わらないのですが、何といっても彼の特長的な面といったらその哀愁を含んだスタイル、特にボーカルだと思います。バックの場合はバラードを歌っていてもどこか明るく、あまり後ろ向きな感覚というものを受けないのですが、ハガードの場合はどこか寂しげな、それでいて無骨な不良っぽさに溢れている気がするのです。やはりこのことは彼の人生観が波乱に富んだならず者としての美学に貫かれているからなのでしょうか。有名な話として、巨人ジョニー・キャッシュのサンクエンティン刑務所でのライブ盤に、「聴衆として」参加しているという逸話があります…。民衆歌としての、はぐれ者の音楽としてのカントリーミュージックというものを最も体現しているのがキャッシュとハガードであるかもしれません。
そしてそういった部分にこそグラムが心酔した要素があるのかもしれませんね。余談になるんですが、現在マール・ハガードはあのエピタフ・レコード(!)傘下のレーベルに所属し活動しています。アウトローな精神性が今も活き活きとして受け入れられ、「オルタナカントリー」として認識されているという事実を知るにつけ、何か熱いものを感じてしまうのでした。


追記になるのですが…。
このレビューを書くためにアマゾンのページを見ていたらビックリしてしまいました。異様に安いんですね!新品CD。700円とかそれくらいでこの時期の名作群が買えてしまうみたいです。これは嬉しいなあ。興味ある方は是非気楽な感じで注文してみてはいかがでしょうか?

<しばさき>
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# by beatken | 2005-06-06 02:54 | review
2005年 06月 06日
Buck Owens And His Backaroos “Roll Out The Red Carpet” (1966)
ナッシュヴィルのカントリーが極度にポピュラー化しつつあったとき、西海岸ではそれに反旗を翻すような形で実に興味深いシーンがありました。古くはマドックス・ブラザーズ等に代表されるシーンで、南部産のものには無いどこかカラっとしたサウンドが特徴的な俗に言う「ベイカーズ・フィールド・サウンド」というやつです。
そして実はこれこそカントリーロック誕生の直接的な起爆剤になっているんですよね。特にここに紹介するバック・オウエンズや、マール・ハガードなどのスターの60年代録音における感覚は、グラム・パーソンズ参加期におけるバーズのサウンドの持つそれと本当に近しいものを感じます。
ロッキンで軽快なカントリーという意味では同時期のテキサスのシーンなどがありますが、ベイカーズフィールドの場合、それをもっとソリッドに、もっと言えばロックに展開しています。このあたりの傾向が、ポストサイケデリックの時代に新しい音楽を思索していた若きグラム・パーソンズやクリス・ヒルマン等の進んだミュージシャンにアピールした部分なんじゃないでしょうか。
極めて軽快なリズムの上で二本のテレキャスターが小気味よく疾走し、そこにスティールギター絶妙に絡んでくる…。まさにあのバーズが名作『ロデオの恋人』の上で展開していたサウンドの原型がここにあると思います。最終的にこのバック・オウエンスのスタイルをより8ビート化していったのが後のカントリーロックの偉人達である訳で、やはりカントリーロックという音楽は何もポッと出で発生したムーヴメントではないということがわかります。
また面白いことに、そうした経緯で生まれたカントリー・ロックが最終的にはナッシュヴィルのシーンに影響を与え、例えばエリアコード615などの極めて先鋭的なミュージシャンの一派が浮上してきたりと、一筋縄ではいかないアメリカポピュラー音楽の絵巻図のようなものに感じ入ってしまったりします。


c0075476_2503959.jpgさてこのアルバムはバック・オウエンスと彼のバンド、バッカルーズが最も脂に乗っていた60年代半ばに発表されたものです。彼のような人の場合、駄作いったものはあまり無く、初めて聞くべきアルバムがこれでなくてはいけないといったようなこともありません。(ただし、稀にあるクリスマスソング集やスタンダード集といったものは初めての場合避けられたいですが。)しかし、前述の通り、このアルバムが発表された1966年頃というのは彼らの全盛期でもありますし、そして何よりカントリーロック成立の歴史を見た上でこの時期のアルバムというのはとても興味深いものだと思うんです。グラム・パーソンズなどは恐らくこの辺りのアルバムを通してカントリーロックへのモチベーションを高めていったはずですし、彼らが青春期に聞いていたであろうレコードはこういったものだったんだろうな、などと想像しながら聴くのもまた一興でないかなと思います…。

でももちろんそういったカントリーロックとの絡みにおいてのみ楽しむというよりはむしろこの時期のベイカーズ・フィールドサウンド独特の旨み、カッコよさを味わってみるというのが正統でしょうね。このゾクゾクするほどのアンサンブル、軽妙さ、フレッシュな演奏、どこをとってもカッコいい!


ちなみに僕の持っているのはLPでしかも恐らくオリジナル盤なんですよね。そしてその音のいいこと!これがアメリカの音なのかしら、なんて勝手に思っています。
でも現在入手できるCDはここらへんのことを本当によくわかってる優良レーベルのサンデイズドレーベル(いつもお世話になってます)がリイシューしたものなのでかなり雰囲気のある音になっていそうですね!普段はガレージパンクなどのリイシューをなりわいとしているサンデイズドレーベルからこうした作品がリイシュー(しかもバック・オウエンスに関してはもの凄いカタログ量!)されていること自体に深い感慨を禁じえません。


長々と書いてしまいましたが、このバック・オウエンス、カントリーロック好きなんだけどそれ以前のカントリーも聴いてみようかしら、という方には本当におススメですよ!是非。

<しばさき>
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# by beatken | 2005-06-06 02:51 | review
2005年 06月 05日
Peter Rowan “Peter Rowan”(1978)
キザで、ユーモアがあって、温かくて…。
普通のカントリーミュージックとも違う、かといってカントリーロックでもないような…。それでいてテックス・メックスな風味などもあったりして。そこはかとなくトロピカルな風をも感じるような、そんな不思議な作品。

c0075476_14514.jpgこのふんわりとしたソフト・サウンディングな音がとても気持ちよいんです。とはいってもナッシュビル産の如才ないポップカントリー(好きですが…)とも違って確かにどこかヒップでロックなスピリットが宿っていたりもするんです。それはやはりこの人が元々アースオペラやシートレインなどといった先鋭的なルーツミュージックをやるバンドにいたっていうのが大きいんだと思います。伝統的なスタイルを踏襲しながらもほのかに時代の匂いを忍び込ませるような、そんなお洒落さってどこかこの時期のアコースティック・スウィングの人達と共通するところがある気がして、とても嬉しくなっちゃいます。

この作品がFlying Fishというインディーレーベルからひっそり出された1978年、はたしてどれだけの人がこうした豊かなルーツミュージックの魅力を享受できたのだろう。あの時代にあってこんなにもノンビリした、マイペースでルーツな作品を残すなんてなんてヒップな人だろうか。時代の流れに乗らないことがヒップな場合もあるんだ。

それにしてもこの洒落っ気はどうだろう…。あくまで楽しく、お茶目に。理屈抜きにウキウキしちゃう。これこそグッド・タイム・ミュージック…。

女の子とかにも受ける気がするんだけどどうかな。お試しを…。

<しばさき>
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# by beatken | 2005-06-05 01:05 | review
2005年 06月 05日
The Rolling Stones “Tattoo You”(1981)
冷静に考えて、あるいは先入観を抜きにして考えて、ストーンズならではの魅力がこんなにもストレートに感じられるアルバムもあまり他に無いんじゃないだろうか?どうしても「Start Me Up」のプロモ等におけるミックのエアロビクス的なキャラクターをイメージしてしまいゲッソリしがちだけれど、そういうトゥー・マッチな演出を除いて考えればこんなにストーンズ独特の良さを全体を通して体現しているアルバムは無いと思います。
しかしながらかく言う俺も昔これを初めて聴いたときは何か馴染めなかったのも事実。名作名作言われてるけどそんなもんかな、程度にしか考えて無かったです。今、それを反省しています。

c0075476_104699.jpg実のところこのアルバムは、ミックのキャラよりキースの凄さや彼の才能が充実しているんですよね。例の「弾かないギター」に磨きがかかり、もうプレイ全体が円熟と言っていいくらいの域にあって、このギターを聴いているだけでもう快感です。「Start Me Up」におけるリフの完成度、円熟度といったらもうThis is Stonesっていう風格ですし、ロックギタリストとしての彼のカッコよさにあらためて惚れ惚れしちまうんです。
それと曲のよさが凄く際立っているアルバムでもあります。軽く流しているようで渋く決めるロックンロール・チューン「Hang Fire]、切ないメロディーとミックのボーカルが素晴らしすぎる「Waiting On A Friend」、その他全ての曲が粒ぞろいで隙が無いように感じます。B面における怒涛のストーンズ流ソウルの応酬。それまでで最もソウルを違和感無く消化したストーンズがここにあると思います。ゲスト参加した巨匠ソニー・ロリンズのテナーに食われることなく自分達のペースでこんなにも豊かな演奏ができるのだから本当に凄いですよね。

次作以降ほどニューウェイブ色も強くなく、特に何か新しいことに取り組んだということでもないので一聴した限り地味な感じを受けますが、この独特のロックンロールはストーンズ以外に成しえないものだと思います。


追記:

この時期のライブ盤である名作「Still Life」を併せて聴くと魅力倍増!この時期のストーンズはホント最高!

<しばさき>
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# by beatken | 2005-06-05 01:02 | review
2005年 05月 16日
ストリートロック
近頃ボスを初めとして「ストリートロック」にはまってしまっています。数年前なら、「ダッセ」と一蹴しちゃってそうな音楽でした…。が、今これが本当に沁みるんです。

一口に「ストリート・ロック」といっても、厳密にそういう音楽形態が存在するわけではなく、その魅力はもっと気持ち的な、感覚的な捉え方でもって理解すべきものだと思います。何だろうな、ひとつ確実にいえるのは女性には全く受け無そうなある種暑苦しいような魅力が…。この辺の傾向が嫌いな人には本当に嫌われそうな音楽ですね(笑)
でも思うんですけど、内なるパッションというべきか、その本質としてはルー・リードなどの音楽と合い通じる部分がありと思うんですが…。ルーらの音楽はそのシャレた「雰囲気」だけで十分鑑賞できうるものだけに、色々な誤解曲解があると思いますよ。本質はもっと汗臭いものだし、青臭くて痛みをも伴うものだと思います。単にインテリ的なアート思考でもってあそこまでの人間くさい表現が可能になるとは到底思えません。彼らは紛れも無いストリートロッカーだと思います。
アート的な洗練や泥くささ、黒っぽさやシャレた感覚などといったものは確かに音楽のもつ素晴らしい魅力であるとは思いますが、けっしてそれが全てではないはず。そういったもろもろの印象にまつわる魅力というのはあくまで外殻的な要素であり、それだけをあげつらって云々するのは逆に凄くスクエアな態度じゃないか?
「ロック」って本来ストリート的な要素を初めから内包していると思うのです。逆に言えば様式美にのみ拘泥したメタルとかはマジに興味ありませんし、先述のようにヴェルヴェッツとかをそういうアート的な様式で持ってしか評価しないのなら中学生的メタル馬鹿となんら変わりないんじゃないか。そういう奴とは一緒に風呂に入りたくない。(誤解の無いように書いておくと、そういう様式的な枠組みを飛び越えて魅力的なメタルやハードロックとかはとても好きです。シン・リジィ、モーターヘッド、AC/DC、グランドファンク、アリス・クーパー、ブルー・オイスター・カルト…。好き!)

そんじゃあお前のいう「ストリートロック」って何だ、ということになろうかと思いますが、これはやはり先述のような事情から字では説明しづらい…。強いて言えばオーセンティックなギターロックコンボで疾走感のあるポップなロックンロールを哀愁を織り交ぜ叩きつける!甘くなりすぎずビターで渋いロックンロール…。と言う感じでしょうか。字面的にはもの凄いダサそうですね(笑)

なのでやはりそういう風に外殻的な特徴をあげつらうより、例としてどんなミュージシャンがいるかをあげてみましょう。面白くなってきたぜ。

c0075476_19264760.jpg
なんつっても代表格はブルース‘ボス’スプリングスティーン(←写真)!説明不要の大物ですね。ストリートロックの何たるかが全て彼の音楽で表現されていますわ。初めて聴こうという方、決して『ボーン・イン・ザ・USA』以降を聴かないように!一般的にはここら辺が彼のパブリックイメージかと思いますが、むしろこの時期は彼の経歴からいって異色の時期です。大嫌いになる可能性があります。やはり『明日無き暴走』や『ザ・リヴァー』がお勧め!最高。あと意外かも知れませんが近年の作品も最高なんだよなー。


そしてボスの盟友サウス・サイド・ジョニー。初期がおすすめ。絶妙のソウル臭がたまりません。

c0075476_19281168.jpgそしてやはりウィリー・ナイル(→写真)。店頭であまり見かけないけど探す価値あります。


ガーランド・ジェフリーズ。この人はかなり多彩で、ソウル風味やレゲエ風味なんかもあって良い感じです。が、あくまで本質はストリート。

ジム・キャロル。映画『バスケット・ダイアリー』の原作者としても有名。パンク寄りの歌がカッコいいです。

グラハム・パーカー。パブロックのウルフ。問答無用にカッコいい。
パブロック全般に感じる小粋なかわいらしさみたいなものって、なんとなくストリートロック的なものと区別されるんですよね。そうはいっても少なくともパーカーとイアン・デューリー辺りはストリートロックに含めてもいいかもしれないです。

ウォーレン・ジヴォン。西海岸の皮肉屋。辛口の歌がカッコいい。

パティ・スミス。この人も入れちゃいます。無論カッコいい。

ジョナサン・リッチマン。ルーと同じ意味でストリート!大好き。

ジャクソン・ブラウン。意外かも知れないですが、この感動はストリート・ロックだぜ。

ジョン・クーガー・メレンキャンプ。来ました。安売られ王ですが。やっぱり本質はストリート・ロッカーだ。

トム・ペティ。忘れてました。この偉人を。西海岸の中では出色でしょうか。

ニルス・ロフグレン!ギター小僧版ストリートロッカー。こうなってくるとニールヤングも入れたいけど…。でも彼はストリートすら超越した独自の地平を爆走してるのでちょっと違うかな。
あ、そうそう、無論ディランと言う存在はここにあげた連中の中でそれはもう絶対的なものだと思いますよ。彼らの心の中には、常にディランに対する憧れみたいなものがあるはず。でもディランをこの括りに入れるっていうのはまた何か違うんですよね。なんていうかなあ、やっぱりニールと同じような理由で、もはや別格化しているというか。難しいですけど。

グレッグ・キーン。この人の在籍した「ビザークレー」というレーベルは強烈にストリート・ロックを感じさせます。

忘れてました!超重要人物を。エリオット・マーフィー!個人的にはボスに次ぐくらい好き。

ピーター・ウルフ、というかJガイルズ・バンド。男臭い系の最右翼。

ジュールズ・シアー。捻くれたポップ感が青春の哀しさを誘う。

ピーター・ケイス。パワーポップバンド、プリムソウルズの元メンバー。今やフォーキーなロックを聴かせる渋い芸風に。

ヒューイ・ルイス。その余剰在庫ぶりから馬鹿にされがちだが良質なストリート・ロッカーだと思います。

マーシャル・クレンショウ。パワーポップよりの人だが、映画『ラ・バンバ』でバディー・ホリーを演じる、その感じ、凄くストリートロックだ。

c0075476_19285933.jpgまたしても重要人物を忘れていた…。スティーブ・フォーバート(←写真)。フォークとスプリングスティーンの融合と言うべきか…。こうみるとニューヨークの人が多いんですね。都市に生きることっていうのはそういうこと。

初期のJ.D.サウザー。厳密に言うとファーストだけって感じなんだけど…。AORになってからは別に普通だからな。苦み走ったシンプルなロックが溜まらない。

忘れてた!(思い出しながら書いてるのであしからず…。)ミンク・デヴィル!このイタロな味がなんともチンピラ的でいいです。「イタロ」って重要なキーワードだと思う。ブロンクスを中心としたコミュニティの音楽。世代は違うがディオンなどもこの際含めたい。

ジョー・イーリー。珍しく南部からエントリー。生粋の南部人というよりは、若干の都市臭さを感じる。クラッシュとも共演したつわもの。

ジョン・ハイアット。同じく南部より。この人も不思議なストリート感を湛えているんだな。

初期のビリー・ジョエル。えっ!とう声が聞こえてきそうですが「ピアノ・マン」などで聞かれる情感は紛れも無くストリートロック的なもの。

シン・リジィ。この青くささ、ストリート臭さはやはりこのラインアップにふさわしいと思います。

このほか、周縁、さらに亜周縁的なものを考慮するととても書ききれそうにないのでこの位にしておきますが、まだまだ言及したい人達がいっぱい。ロイ・オービソン、ポール・ウェスターバーグ、ライアン・アダムス、ロス・ロボス、ロビー・ファルクス、ウォールフラワーズ、フーティー&ザブロウフィッシュ、佐野元春、等々…。


いやあ、長く書いてしまった。疲れた…。つい熱くなってしまいましたよ。

さあ、みんなでボスを聴こう!

<しばさき>
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# by beatken | 2005-05-16 19:31 | review
2005年 05月 09日
Gene Clark “Roadmaster” (Recorded in 1970-1973, first Released in 1973)
名盤“White Light”に続いて、3rdソロアルバムを製作していたジーン・クラークですが、どんな理由でなのかそのアルバムの音源と言うのはお蔵入りしてしまいます。グラム抜きのバリトーズとの録音(最高!)やスプーナー・オールドハムやクラレンス・ホワイトとの録音も含む名セッションなのですが…。
また、バーズのオリジナルメンバーによる再結成というと73年にリリースされた盤が知られているところだと思いますが、遡ること数年、実は70年と71年にもプロデューサーにジム・ディッキンソン(!)を迎えてオリジナルメンバーによる再結成音源の録音が行われていたのですよ。

そのような素敵過ぎる未発表音源が存在しているとなれば何が何でも聴きたくなると言うのが音楽ファンというものです。うー、ウズウズしてきたぜ、という方、ご安心下さい。ここに紹介する様に、ちゃんと73年にオランダのレーベルによってLPに纏められ、しかもありがたいことに英国のedselからCDも再発されているのです。ちなみにブートレグではありませんよ。ちゃんとした再発盤ですから音質の方も良好です。
c0075476_4453327.jpg肝心の内容の方はというと、これがまた最高。個人的にバーズ人脈の中で最も優れたソングライターがこの人だと思っているんですが、この未発表音源集においても本当に素晴らしい曲を書いています。バーズ時代からややモダンで幽玄な曲における作曲に定評のあった彼だけあって、ここでも静謐で美しい曲を聴かせてくれているのです。特にバリトーズとの録音‘Here Tonight’における美しさといったら本当に鳥肌モノですよ!僕は普段クラブとか全然行かないのですが、時々お遊びでDJをするときはこの曲をかけるようにしてます。それくらい場の雰囲気をロマンチックにしてしまう名曲だと考えています。是非買って聴いてみてください!
勿論他の曲も最高の一言に尽きてしまいます。なんでこんな素晴らしい曲たちがお蔵入りなの?と訝ってしまいたくなるようなものばかりです。前作辺りから良い味になってきたソウル的なテイスト、この人ならではの美しいソングライティングとフォーキーで泣かせる歌声、そしてこの時期のカントリーロック独特の魔法が混ざり合って、ああ、正に天国だ…。
聴きながらこれを書いていたんですが、聴き入ってしまってなかなか筆が進みませんでした…。未発表曲集だからといって敬遠してしまっては勿体ないですよ。是非!

<しばさき>
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# by beatken | 2005-05-09 04:45 | review
2005年 05月 09日
Warren Zevon “Warren Zevon” (1976)
晩年は病魔に蝕まれ、決して幸せと言えないような亡くなり方をした彼。年を重ねていくごとにより苛烈な作風とアウトローな雰囲気を増していった彼の人生の締めくくりが、そういった不幸な死によってだったということは、何かあまりにも皮肉な気がするのと同時に、やはり彼は死ぬまではみ出し者として生き抜いたのだろうか、などと多少ロマンを馳せてみたくもなってしまいます…。

ファンには有名な話ですが、もともとは69年にアルバム・デビューしていた彼。それが泣かず飛ばずで、エヴァリー・ブラザーズのツアーバンドを勤めたりしながらもプラプラしていたらしいです。そんな状況を見かねて再デビューの機会を与えたのがあのジャクソン・ブラウンだったという訳です。この時期、ジャクソン自身最愛の妻を亡くしていて、失意のどん底にありながらも創作活動を行っていました。そんな経緯から彼の音楽性も初期におけるポップで爽やかなものから、より人間の本質に切り込んでいくような苛烈でシリアスなものへと移行しつつありました。(その成果は76年の名作『プリテンダー』で聴けます。)そんな折このウォーレン・ジヴォンというアウトローにジャクソンが目をつけ、ここに紹介するデビューアルバムのプロデュースまでかってでたというのは、なにか偶然とは思えません。

c0075476_3331321.jpgカリフォルニアの太陽の下に生きる人間たちの、見逃されがちなダークサイドをえぐり、ハードボイルドに歌ってみせる彼。青少年の不埒な日々や痛々しいまでの感傷、強がり、弱さ、そういった青春を構成する決してハッピーではない側面が、彼の辛口な語り口によって暴かれていくんです。映画『オレンジ・カウンティ』で描かれたような、さんさんと太陽が降り注ぐけれどどこかやるせなげなカリフォルニアの風景。あるいはパンク歌手にしてビート作家、ジム・キャロル原作による名作『バスケット・ダイアリーズ』の世界。そんな映画に漂うような青春の希望と痛々しさといったものに思いを馳せながらこの人の歌を聴いていると本当に味わい深いものを感じられます。それこそ自分のこれまでの、あるいは今の、これからの生活とオーヴァーラップさせながら歌の世界に浸ってみると、もう本当にいいんですよね。

音楽的にも、無骨極まりないリズムと演奏がまた素晴らしいです。無骨ではあるのですが、かといって荒々しい訳ではなく絶妙に抑制の効いた渋味のある演奏です。あえて言えばやはりガーランド・ジェフリーズや初期JD・サウザーなどのストリート的感性を感じさせるようなロッカー達に近い感覚を湛えていると思います。そして、彼が70年に登場したもっとも重要なシンガー・ソングライターと言われるだけあって、曲がもう本当に良いんですよ。聴いてみてください。

この後80年代に若干の迷走などを重ねながらも、90年代にはさらにハードボイルドな歌を聴かせる歌手として色々なメジャー会社にホッポリ出されながらも、渋い、実に渋い活動を続けていたという彼でしたが、冒頭にも書いたと通り、不幸にもまだ若くしてこの世を去ってしまいます。
一生をアンチヒーロー的な世界観で生き抜いた孤高のロッカー。このビターな味わいが僕たちに示唆してくれるものの大きさは、音楽的なことを超えとても大きなものを秘めていると思います。

<しばさき>
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# by beatken | 2005-05-09 03:33 | review
2005年 05月 02日
Heads Hands & feet “Old Soldiers Never Die” (1973)
ザ・バンドの登場は、海を隔てたイギリスにも多大な衝撃を与え、英国国内にさまざまなルーツ嗜好のバンドを結成させるきっかけとなりました。代表的な例としてはあのブリンズリー・シュウォーツがそうであります。しかし当時英国では国を挙げて未曾有のハード&ヘヴィ・ロックブームが巻き起こっていたため、どうしてもそのようなルーツロック志向のバンドはアンダーグラウンドな存在に留まりがちなのでした。
でも僕のようにパブロック発生の過程などに大きなロマンを感じてしまうようなタチの人間からすると、そのように地味~に活動していたバンド群の方にこそ興味を向けてしまうんです。そういったバンドたちの地道な活動がなければ後のパブ・ロックシーンがあんなにも充実したものには決してならなかっただろうし、むしろそういったクラブやパブなどの周縁的文化にこそ、生活と共に音楽を楽しむエンタテインメントの本質があるような気がします。パブやクラブにおいて普段着でビール片手に楽しむ音楽にこそ生活の哀歓が凝縮された本当の意味での娯楽がある気がするのです。決してスタジアムの狂乱では味わえない大切な感覚があるはずだと思うんです。

ここに紹介するHeads Hands & Feetというバンドもそういったパブ・ロック前夜の混沌としつつも実り多き時代に活躍したルーツ志向のバンドです。そして実はこのバンド、もともとアンダーグラウンドなクラブシーン等で活躍していたような連中によって結成されているというのがまた泣かせます。モダーンズなどの真にヒップな連中がこういったルーツィな方向に進んでいったっていうのも何やら素敵じゃないですか!泥臭いゴスペルの狂熱を英国風なセンスで消化した演奏はまことに素晴らしいです。スモーキーでくぐもったような音像にシンフォニックとさえ言える演奏、そして程よいアメリカンエッセンス、この時代のイギリスのバンドならではの独特の魅力があり、たまりません。
c0075476_1392236.jpgこのHeads Hands & Feet、マニアの方には後にエミルー・ハリスのホットバンドのメンバーに抜擢されたことで有名なアルバート・リーが在籍していたことで知られるバンドかもしれません。また、のちにチャス&デイブという名デュオで活躍するチャス・ホッジスが在籍したバンドということでも有名かもしれません。この人脈をみただけで何ともはや堪らないんです。
カントリー・ロックやスワンプ・ロックを自分たちの手でやってみよう!と集まった若者たちのウキウキするような気持ちがレコードに刻まれている気がして嬉しくなってしまいます。溌剌としたリックを連発して実に楽しそうに演奏するアルバート・リー。本当に音楽が好きでたまりません!っていう風情がビンビンに伝わってきてとっても爽快です。

<しばさき>
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# by beatken | 2005-05-02 01:39 | review
2005年 05月 01日
Nick Lowe “The Wilderness Years” (Recorded between 1974-1977 Compiled in 1991)
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これこそ実は彼の裏ベストというか、傑作というか。ともかく今では高価でとても手に入らないようなレアかつ傑作なシングル曲等がまとめてお手軽に聞けちゃうってことで実にお得なコンピなんです。
ブリンズリー・シュウォーツ解散直後から地味にソロ活動していた彼ですが、惜しいことにこの時代にはアルバムを作っていないんですよ。ファーストとなる『ジーザス・オブ・クール』は78年発表だから、バンド解散からそれまでの3、4年間の間に発表したり録りためていた曲にこそあのパンクムーヴメント爆発寸前の時代の空気が閉じ込められているといった訳で、そういうパンキッシュで若々しいニック大好きな私あたりからすればもう堪らないわけです。ちょうどダムドのファーストをプロデュースしながらニックがどんなことを考えていたのかな、などと妄想してしまう向き(私だけれど)などにとっては堪らない作品集なんです。

ここにはスティッフでのデビューシングル‘So It Goes’のB面、‘Heart Of The City’や皮肉タップリの下手すりゃ本人達よりポップなベイ・シティ・ローラーズ応援歌(マジで名曲!)やディスコ賛歌(もちろん皮肉)、あるいはデイブ・エドマンズと録りためていたロックパイルへの布石となるロックフィールドセッション、果てはフィールグッズへの提供曲のセルフデモ等、正にファンにとってはヨダレもん、かつ基本のアイテムがいっぱい詰まってる訳なんです。最高。

未発表曲集とか聞くと敬遠しちゃう向きもあるかも知れませんが、これは聴いて。ここにはパブロックが輝いてた時代のドキュメントが刻まれています。これらを聴くだけで当時の時代感や、パブロックとはどういうものであるかがちょっとでも解って頂けると思うんです。
皮肉タップリに時代を歌ってみせるけど、ルーツやポップスへの愛情を決して忘れない。そんな愛くるし過ぎるパブロックとニックの本質がこの作品から少しでも解っていただけたら幸いです。
単純に楽曲的に考えてもこんな完成されたポップスは無いわけで、是非まあ気楽に楽しんでみてください。

<しばさき>
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# by beatken | 2005-05-01 21:51 | review